月夜の砂漠に一つ星煌めく
簡易的なカーテンを、勢いよく閉めて、その奥でアリアは何やらモゾモゾし始めた。

その時だ。

「アリア!支度はまだか!」

この声は、どこかで聞いた事がある。

そうだ。

挨拶に来た時、俺にお礼を述べた男だ。


「アリア!」

俺は咄嗟に、カーテンの奥に隠れた。

「きゃ……」

聞こえないように、胸を隠したアリアの口を、手で塞いだ。

「全くいつまで、着替えに時間をかけているんだ!もう少しで、出番だぞ!」

「ごめんなさい!直ぐに行くわ!」

アリアが答えると、男はテントの中から、出て行った。


「セーフ!」

「セーフじゃないわよ!急にびっくりするじゃない!」

俺は羽織っている上着を脱ぐと、アリアに被せた。

「ごめんごめん。ほら、俺がここにいたら、さっきの人に、怒られそうじゃん?」

「それもそうね。」

俺は小さく頷くと、カーテンの中から出た。


「ねえ、あなたの匂いって、いい香りがするのね。」
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