月夜の砂漠に一つ星煌めく
ここまで勢いよく話したと言うのに、途端に言葉が出てこない。

「その……」

“結婚させて下さい”って、どうして言えないんだ?

「あの……」

焦れば焦る程、言葉が詰まる。


その時テラーテさんが、俺の肩に手を、そっと置いた。

「まだ、慌てなくてもいいのですよ。」

「テラーテさん……」

「あなたは、まだ若い。この先気持ちが変わるかもしれない。」

「そんな事!……」

俺はテラーテさんの方を向き、首を勢い良く、横に振った。

「いいんです。ゆっくり、考えましょう。私も、今日あなたとこうしてお話するのは、初めてなんです。今、妹の事を言われても、直ぐに“はい”とは、申し上げられない。」

「えっ……」

もしかして、俺達の事、反対している?

するとテラーテさんは、静かに微笑んだ。

「たった一人の肉親と言うのは、皆、そう言うものですよ。」

そして彼は、又、静かに笑った。
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