月夜の砂漠に一つ星煌めく
アリアは、急に立ち上がった。

「そんな事……ないよ……」

「あるのよ。ジャラールが、知らないだけ。」

するとアリアは、背中を向けた。


「踊り子をしているとね。お金持ちのお坊ちゃんに、気に入られる女の子は、沢山いるの。中には、妻に迎えるって約束をする子もいるわ。でもね。実際結婚できた子は、数える程しかいなかった。」

「えっ……」

俺は、陽気に踊っている女性達を、火の向こうに見た。

「理由は簡単。“貧しい身分の女”だから。色目を使ってイヤらしいって、言われた子もいたわ。鞭を打たれた子もね。所詮は無理なのよ。身分違いの恋なんて。」

俺はそっと立ち上がると、アリアを抱き締めた。

「俺は違うよ。必ずアリアを迎えに来る。」

アリアは、“うん”と、言ってくれなかった。

「俺を信じて。」

それでも“うん”と言ってくれなくて、悲しくて、アリアの額に、口付けた。

「ありがとう……ジャラール。」
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