月夜の砂漠に一つ星煌めく
やっと聞けたのは、お礼の言葉だった。

まるで、二人の未来は、重ならないと言われてるみたいだった。


「そんな泣きそうな顔をしないで。今私、何でもできそうな気分よ。」

するとアリアは、俺の目の前で、踊り始めた。

「それにね、ジャラール。私、この状況から、抜け出したいって、思ってるわけじゃないの。」

「そうなんだ。」

「だって、他の場所に行ったって、必ず幸せになれるとは、限らないでしょう?要するに、今置かれた状況で、どんな風に生きるかでしょ!」


その時俺は、雷に打たれたような、そんな気がした。


「今……置かれた状況で……どんな風に……生きるか……」

アリアの言葉に、今までの自分を、振り返った。


今まで俺は、苦しくて辛くて、逃げる事ばかり、考えていなかったか?

他の国に行くかもしれないって聞いた時、心の底では、やり直せると思っていなかったか?

今までの自分が恥ずかしくなった。
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