月夜の砂漠に一つ星煌めく
「……今回は、遠くにある同盟国の王まで、足を運んでおられます。もしかしたら現国王は、ジャラール様を養子にする国を、見定めるおつもりなのかもしれません。」

歩きながら俺は、ハーキムから目を反らした。

「ジャラール様。こればかりは……」

「いいんだ、ハーキム。私は決めたのだから。」

「えっ?ジャラール様?」

呼び止めるハーキムを置いて、俺はそのまま王の間へと、足を向けた。

「お待ち下さい。何を、お決めになったのですか?ジャラール様!」

ハーキムが心配しながら、俺を追いかけてくる。


だけど、俺はもう迷わない。

誰に何を言われようと、自分の道は、自分で決める。

それができないのなら、自分の手で、自分の未来を切り開いていく。

それが、母上に対しても、ネシャートに対しても、アリアに対しても、誠実な気持ちだと思うから。


そして俺は、みんなが待ち受ける王の間へと、光を浴びながら、入って行った。
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