月夜の砂漠に一つ星煌めく
父上は軽く頷くと、玉座に座った。

式は全て終わり、これから宴に入るのだと、誰もが思っていた。

「ところでジャラール。今日は近隣の王達が、美しい姫達をお連れしていてな。」

「はい……」

もう廊下では、宴の食事を持って待っている女中達が、並んでいると言うのに、父上は何を話し始めると言うのか。

お妃の事ならば、どうせ宴の時に、一人一人顔を見せられると言うのに。

「どの姫君も、賢く従順で、そなたが選んでくれるのであれば、喜んで妃になりたいと、言って下さっている。」

「……それは、身に余る程の、光栄なお申し出でございます。」

すると、姫君達や王達の間からは、そこらか敷こから、感銘のため息が漏れ始めた。

「だがそなたには、心に決めた姫君が、おるのであろう?」


心に決めた姫君!?

それがアリアの事を言っているのか、俺には分からなかった。

アリアの事は、宮殿の者は知らない事。
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