月夜の砂漠に一つ星煌めく
着ている服からして、どこかの姫君なのだろう。

「ああ。残念だが、お嫁さんに来てくれる人は、いなかったようだ。」

するとその女の子は、モジモジとドレスの裾を、いたずらし始めた。

「だったら、私がお嫁さんに、なってあげる!」

「はあ?」

思わず、首を傾げてしまった。

「あら、私は嫌だ?」

女の子も、一緒に首を傾げる。


「君、名前は?」

「私はね、マリカ。」

「えっ?」

おいおい、ドレスを捲ってカボチャパンツを見せているのに、名前の意味が“女王”って言うはないだろう!

「えーっと、マリカ姫はおいくつなのかな。」

「10歳。」

わざわざ、手振りまで付けてくれているけれど、1本足りないよ。


私がお嫁さんになってあげる!なんて、かわいい事言ってくれるけれど、もう少し成長してから、来てほしい。

「マリカ!」

「あっ、はーい。」

父親に呼ばれ、その女の子は、さっさと立ち去ってしまった。
< 193 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop