月夜の砂漠に一つ星煌めく
あんなに、一緒に騒いで酒を酌み交わしたみんなが、急によそよそしくなるなんて!

本当は王子でも、何でもないのに!

「……行かないでくれ、みんな。」

成人の儀を過ぎて、もう一人前の男だと言うのに、みんなの前で、涙がボロボロと流れ出た。

「そんなに急いで行く事なんて、ないじゃないか。まだ、この国にいればいいじゃないか。」

みんなが、困った顔をしている。

分かっているんだ。

全部、自分のわがままだって。


「ジャラール王子。」

アリアが、馬車を降りて来た。

「一定の期間、躍りを披露すれば、また別な場所に移動する。それが我々の生き方なんです。」

「アリア……」

「王子に親しくして頂いた事、我ら皆、ずっと忘れません。」

皆も、泣きながら頷いた。


「……イヤだ。」

子供みたいに、アリアに抱きついた。

「アリアと、離れたくない。お願いだ。俺の為に、ここに留まってくれ。」
< 201 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop