月夜の砂漠に一つ星煌めく
その瞬間、アリアは俺に唇に、自分の唇を重ねてくれた。

「……ジャラール王子。あなたは、私がいなくても、立派にお勤めを果たされるはずです。」

「違うっ!」

「私が言うのですから、間違いありません。」

静かに顔が離れ、アリアと間近で、見つめあった。

アリアの瞳に、自分が映る。


ああ、こんなにも好きなのに、離れ離れになってしまうなんて。


「王子、またいつか……お会いできる日を……」

「アリア……」

アリアの温もりが離れて行き、舞踏団のみんなが、馬車に乗り込む。

そして何も言わず、テラーテさんは一行に、出発を告げた。

次々と、舞踏団のみんなが、自分の横を過ぎ去って行く。

それを何も言わずに、俺は見送った。


全員が過ぎ去ったのは、一行が動き始めてから、10分程経った頃だった。

誰もいない道を見て、噛み締めたいた思いが、溢れだした。

誰も聞いていない。

俺は、人目を憚らず、空に向かって泣き叫んだ。
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