月夜の砂漠に一つ星煌めく
美少女と美少年。

お互いを見ても、見飽きているせいか、こんなモノかと思ってしまう。

「……なんか、ピンとこないな。」

「左様でございますね。」

二人の会話を聞いて、ネシャート付きの侍女、ラナーが大笑いをしていた。

「お二人とも、贅沢でございますね。」

「贅沢?」

「他の方は、お二人を目的に、この国を訪ねたがっていると言うのに。」

「ええ?」

俺とネシャートで、不信な顔をしたものだから、ラナーの笑いは、終わる事を知らなかった。


「この国を訪れる商人は皆、ジャラール王子とネシャート様のお美しさのお話で、持ちきりです。そして自分の国も帰った後、今度は宮殿でそのお話を、されるのです。」

なんと言う迷惑な話だとは思ったが、ラナーやハーキムの表情を見ていると、それを楽しみにしている者がいると、改めて思うわけで。

自分では美少年だと言われても、何の事か分からなくなるが、ネシャートを見ると、そう噂をする者の気持ちも、分からなくはない。
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