月夜の砂漠に一つ星煌めく
だが問題は、ネシャートだった。

「へえー。それは、来年の成人の儀が、楽しみですこと。」

「う、ん?」

「さぞかし、アラブ中のお美しい姫君達が、ジャラール王子をお心を掴む為に、最高に美しく着飾って、来るのでしょうね。」

たっぷりの嫌みと一緒に、ネシャートはそう言った。

「嫉妬か?」

「そんなモノは、ありません。」

「顔が怖くなっているぞ。」

「呆れているのです。」

あー言ってはこー言う。

俺はネシャートと、にらめっこをした。


「お二人とも、仲のよろしいですね。」

その様子を面白がっているのは、ネシャート付きの侍女、ラナーだった。

「そうか?」

「はい。ケンカする程、仲がいいと言うでは、ありませんか。」

俺とネシャートは、またにらみっ子しながら、お互いの顔を背けた。


「さすがネシャート様が、会えないと寂しいと仰る方ですね。」

「えっ……」

ラナーの発言に、俺が戸惑う。
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