月夜の砂漠に一つ星煌めく
「もう!ラナーったら。」

「隠さなくても、大丈夫ですよ。ネシャート様が、ジャラール王子を慕っていらっしゃる事は、私は存じ上げております。」

その言葉に、ネシャートの顔が、赤くなるのを見た。

それを見て、俺の顔も、赤くなる。


「そうだ。ジャラール王子、もし宜しければ、今夜遊びに来ませんか?」

「ラナーの元へ?」

「シーッ!」

ラナーは、口元に人差し指を当てた。

「ネシャート様を、私の部屋で待たせておきます。そうすれば、誰にも怪しまれずに、お二人で会う事ができますでしょう?」

俺はネシャートと、顔を合わせた。

「ですが……ラナーに、有らぬ噂が立っても、申し訳なく思います。」

「そうだ。来たばかりだと言うのに、私が通っているとなったら……」

するとラナーは、胸をドンッと叩いた。

「お気になさいますな。その時は、その時です。逆にそう言う事になれば、お二人のカモフラージュになるでしょう。」
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