月夜の砂漠に一つ星煌めく
にこにこと笑うラナーに、俺達二人は、甘える事にした。

実は俺自身も、ネシャートに会いたくて、仕方がなかったんだ。

早速その日、ラナーの部屋に行くと、ネシャートは既に、部屋の中にいた。

「ジャラール王子。」

しばらく見ない内に、ネシャートはまた、美しくなった。

「……やっと、会う事ができたね。」


辺りを見回すと、椅子は一つしかなかった。

俺がそこに座り、ネシャートはラナーのベッドに、腰掛けた。

「ああ……何から、話せばいいかな。」

「そうですね。会えない時は、あれを話そう、これを話そうと、たくさん思い浮かびますのに。」

そっとネシャートを見ると、こちらを見る眼差しが、子供の時と一緒で、少しだけ緊張が解れた。

「そうだ。ずっと、ネシャートに謝りたかった事があるんだ。」

「まあ。何でしょう。」

「花畑の事だ。」

ネシャートは、急に下を向いた。
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