月夜の砂漠に一つ星煌めく
「取り乱していたとは言え、せっかく大切に育てた花を、あのようにしてしまって、申し訳なかった。今更だが、許してはくれないだろうか。」

「許すも何も、ジャラール王子の為さる事に、私が口出しをする等、畏れ多い事です。」

「そんな事はない!」

俺は思いっきり、頭を左右に振った。

「私が間違った事をしたなら、どうか叱って欲しい。」

「ジャラール王子。」

「……そなたの言う事なら、聞き入れられるような、気がするのだ。」


なぜ、こんな子供染みた事を言うのか。

でも、ネシャートの慈愛に満ちた雰囲気が、年下だと言うのに、俺を子供のように、甘えさせるのだ。


「その後、女中に聞きました。」

「えっ……」

「ジャラール王子が、本当は父上様と、血が繋がっていない事を……」

俺は、息を飲んだ。

「でも、私とは血が繋がっております。」

「まさか!」
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