月夜の砂漠に一つ星煌めく
「有り難う、ラナー。君の優しさに、感謝するよ。」

「いいえ、勿体ないお言葉でございます。ジャラール王子。」

ラナーにお礼を言って、ネシャートと向き合った。

「今日は来てくれて、有り難う。」

「私の方こそ、お会いできて嬉しく思います。」

挨拶を交わして見つめ合うと、まだネシャートと、一緒にいたいと思ってしまう。

「では……」

「はい。また、お会いできる日を、お待ちしてます。」

何とかネシャートへの気持ちを振りきって、俺は背中を向けた。

だけどどうしても、振り切る事は、できなかった。


「ネシャート。」

思いきって振り向くと、ネシャートもこちらを、向いてくれた。

「明日の夜も、会えないだろうか。」

心臓がドキドキした。

断られるのではないかと、思った。

「ええ……私も、そう思っておりました。」

俺とネシャートは、微笑み合った。

「すまぬ、ラナー。明日も……」

「はい!喜んで。」
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