月夜の砂漠に一つ星煌めく
「もしや、ラナーの事か?」

「お察しの通りでございます。」

そうか。

やはり、ラナーの部屋に通っている為、世間ではラナーの方を疑ったか。

「心配するな。あの者は、私の妃の座など、狙っている訳ではない。」

「されど!」

女中の顔色は、少し青くなっていた。

「王子は、相手の女の立場を、分かった上で、お会いになっているのですか?」

「何?」

「ご無礼は、承知の上です。ですが、他に王子へ進言できる者が、今他におりますか?」

言葉がなかった。

自分自身、育ててくれた女性にに、そこまで言わせる事をしていたのかと。

「……ラナーは、一侍女でありながら、王子をたぶらかしたと、周りから苛めを受けております。」

「えっ……」

「ラナーは、ネシャート様の為に、この私がラナーの両親に頼んで、やっと思いで連れて来た者です。私には、ラナーの幸せを、見守る義務がございます。今回の件は、黙って見過ごす事は、できません。」
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