月夜の砂漠に一つ星煌めく
それにしても、ハーキムがラナーをね……。

ハーキムは常日頃から、色気のある女がいいと、語っていたのに。

人の趣味とは、全く分からぬモノだ。


その日の夜。

ハーキムから貰った髪飾りを、ラナーは早速、自分の髪にしていた。

ネシャートがすごく誉めていたから、昼間の話を二人にしてやったら、二人とも、嬉しそうに笑っていた。


「ラナー。そなたには、苦労をかけるな。」

「いいえ。苦労などとは、思っておりませぬ。」

「だが、女中達に嫌がらせを、されているのであろう?」

「回りの女中は、私の事が羨ましいのです。気になど、致しません。」


本当にラナーは、いい奴だ。

ハーキム等には、勿体ないくらいだ。


その後に、ハーキムからラナーの事を、教えて貰った。

ラナーは、“王女付き筆頭侍女”と言う、女中の中でも、一番高い官位を貰った。

これで、ラナーへの嫌がらせも減り、私とネシャートも、安心したところだった。
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