月夜の砂漠に一つ星煌めく
「違う!?」

「見るだけって事ですよ。どうせ見るだけなら、見目麗しき者……」

ハーキムが、そう言いかけた時だ。


侍従が、俺の部屋を訪れた。

「ジャラール王子。国王様がお呼びでございます。」

「分かった。」

ハーキムは話を遮られ、面白くない顔をしている。

「残念だったな、ハーキム。」

「国王がお呼びとあれば、致し方ございません。」

そして笑いながら、国王のいる王の間に向かった。


「父上、参りました。」

「おお、ジャラール。」

国王に手招きされ、俺は隣の椅子に座った。

「ジャラール。この者達は、西洋一と名高い舞踊団だ。」

「噂は聞いております。」


そうか。

この者達が。

よくよく見ると、体の大きい者、小さい者。痩せている者、太っている者、子供から大人まで、いろんな者達が属していた。

特に女達は皆、良い体つきをしていた。

ちらっと、俺の隣に立つハーキムを見ると、鼻の下を伸ばしている。
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