月夜の砂漠に一つ星煌めく
「いえ……先生の教えは、大変勉強になります。」

もしかしたら、俺が訓練を休んでいる事、国王の耳にも入っているのではないか。

そんな気がした。

「怪我がないように、励みなさい。」

「はい。」

頭を下げ、王の間を出ようとした。

「ああ、そうだ。」

「はい。」

まだ何か、話す事があるのかと思ったが、国王に呼ばれれば、嫌でも足を止めなければならない。

「今日の振る舞い、王子として最良であった。」

「……有り難うございます。」

また頭を下げて、今度こそ王の間を出た。


王としての振る舞い、王子としての振る舞い、同じように指揮官としての振る舞いが、あるのなら……


その時丁度、廊下で先生を見つけた。

先生は私を見つけると、立ち止まって頭を下げた。

「先生。」

「はい。」

顔を上げた先生は、久しぶりに会うと言うのに、全く表情を変えない。

俺との剣術の訓練が、有ろうが無かろうが、先生には関係ないと言う事だ。
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