オレ様御曹司 と 極上KISS


身を切られるような思いでマンションを出た俺を待っていたのは満面の笑みで笑う爺さんと、そしてその横で満面の笑みで笑う百合園の婆さん。

その婆さんの横にあざやかな群青色の振袖で慄然と立っているのがおそらく孫の瑠璃子だろう。

日本人形のような美しい少女だと思った。

そう、まだ少女・・・俺に恋してるって思い込んでる少女だ・・・。

こんな少女に、俺は、久遠は・・・翻弄されてる・・・。


「爺さん、体の具合は?どうですか?」

爺さんと呼びはするが特に親しいわけではない。
親父も特に私生活まで爺さんと懇意にしていなかったから・・・俺自身もあまり親しみはない。

俺が小さいころも忙しく海外を飛び回っていたような気はするが、あまり覚えていない。

昔は鬼の久遠と呼ばれていたらしい。
まだ小さかった会社を大企業に育て上げたのはまぎれもなくこの爺さんなのだ。

1年ほど前に一度過労で倒れ、それからは仕事も8割にセーブしている。

「ああ。大分調子はいいよ。死ぬ前に孫の顔もちゃんと見ておきたくなったのでね。
今日は悪いな。忙しいのに来てくれて。」

「いえ。大丈夫ですよ。
日本に帰ってきて3か月たったので大分仕事も落ち着いてます。」

「そうか。よかった。お前はきっとうまくやるな。
昔はわがまま坊主だったのにな。
よく育ってくれたものじゃ・・・。」

そういってふぉっふぉっふぉっと笑った。
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