オレ様御曹司 と 極上KISS
「お前には今日も助けてもらった。
ありがとう。」

やっぱり照れて言うのでこちらが照れてしまう。

「わたしの祖父が盆栽趣味だったので、ある程度は詳しいんです。
両親が亡くなるちょっと前に亡くなってしまいましたけど。」

「あー。ご両親のことは残念だったな。
さぞかし苦労したんだろうなと思うよ。」

やっぱり知ってるんだ・・・。
そりゃ自分の秘書になる人間のこと調べるか・・・。

「ええ。けれどもうだいぶん昔のことです。
専務美味しいです。ここのパスタとピザ。」

最初に両親がバスの事故で亡くなったときは途方にくれたし、どうしたらいいかわからなかった。
けど、もう時も経ったし、わたしも蒼大も大人になったし、どんなに苦労したかなんて、もう過去の話で・・・

今はもう・・・いい。


「ああ、当たり前だ。俺が選ぶ店だぞ。」

「相変わらずですね。専務。」

「何がだよ?」

「オレ様で、自信家で、全然中学の時と変わってないですよね。」

「お前もかわってないじゃん?
オレが何したって歯向かうところとか、負けず嫌いのとことか?」

「・・・・。」

「文句ある?そのとおりだろ?」

「1つ聞いてもいいですか?
わたしを専務の秘書にしたのは、わたしを服従させるためですか?」

こんなこと聞くなんてどうかしている。

きっと、専務がいつもとちがう私服で。
わたしも私服で仕事モードがはずれてしまってるからだ。

「そうだって言ったら?」

「絶対服従なんてしませんから!」

わたしは翔の目を見て言った。

「フン!お前はそうでなくっちゃな。」

翔は楽しそうに笑った。

そう、久遠翔に服従なんて、絶対しない。

翔がわたしがいなきゃ仕事にならないくらいの一流の秘書になってやる!
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