【完】さつきあめ〜2nd〜

「変わってしまう気持ちもあれば、きっと変わらない気持ちもあります。
僕はよくね、有明くんの気持ちを聞いてたから、なんていっても有明くんの肩を持ってしまうんだけど…。
でもさくらさんの気持ちを聞いたら、さくらさんにも肩入れしちゃうな。八方美人って皆から言われちゃうんだけど」

そう言って、沢村は優しい笑顔を見せた。

「誰にでも優しくしてると自分が疲れちゃうのに、沢村さんはやっぱりすごいですよ。
光も、誰にでも優しい人だったけど」

「有明くんが?」

訝しげな顔をして、尋ねる。
そして乾いた笑いを浮かべた。

「ははっ、僕にとって有明くんは誰にでも優しい人なんかじゃないけれどね」

「え?」

「どちらかというと、大切な物を大切にしすぎて壊してしまう人に見える。
あの人は自分が大切だと思えば思う程、慎重になってしまう人なんだ。 だから誰にでも優しいとは少し違う気がする。

あのね、有明くんとさくらさんが一緒にいる時、よく話を聞いていたんだ、君の。
すごく大切で、すごく好きなんだけど、きっと宮沢会長も好きになるんじゃないかなーって。君と宮沢会長のはざまで、有明くんはいつも苦しんでいた。
何故かわかる?」

首を横に振ると、沢村は困った顔をして一息ついた。

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