【完】さつきあめ〜2nd〜

「有明くんにとって、宮沢会長もとても大切な人だから」

光にとって、朝日が…。
だって単純に考えて、ふたりは兄弟なのだから、大切に想う気持ちがあって当然なのだ。

「自分もすごく好きなんだけど、有明くんは小さい頃から自分が手にしてる物は出来るだけ宮沢会長に譲ろうって決めてきたんだって言ってた」

「何で…」

「ずっと光りの中で過ごしてきて、不幸って言葉の意味を知らなかったんだって。
自分が恵まれてるのにも気づかないくらい。
だから初めて宮沢会長に出会った時から、光くんは自分の持ってるもの、全部譲ろうって決めたって言ってた。
もっとも、君をどうしても譲りたくなかったから、光くんは宮沢会長から独立したんだと思うよ」

「あたし……?
でも、光はきっと…さくらさんの代わりにあたしを……」

「昔ONEにいた、さくらさん…ね。
それも君と同じじゃないかな?どうしても好きで忘れられなくたって、人の気持ちは変わっていくものだったりして
僕の目に映る有明くんは、今の君がどうしようもなく好きで仕方がないって感じだよ。
不本意だった父親にダイヤモンドグループの出資をしてもらったのも、色々な事を急いだのも、全部君のためだと思う。
有明くんは確かに色々な人の気持ちを利用してるように見えるかもしれない。でもその全てが君のためだったように思える。君といる未来を、彼はずっと望んでいた」

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