【完】さつきあめ〜2nd〜

「七色でゆりさんよりずっと必要とされるナンバー1になって、お店にとっても宮沢さんにとっても必要な存在になって、あたしがいなきゃ困るって思われるくらいになって、宮沢さんの事を裏切ってやりたかった…。
でも現実は全然違った…。たとえあたしがナンバー1になったとしても、何も変える事は出来なかっただろうし、あたしが七色グループからいなくなったって誰も困りやしない。
それどころかあたしは…宮沢さんを好きになってしまった…」

わたしが変えるどころか朝日のお店は、最初わたしが望んだ通り光の力によって危うくなっていて
わたしが望んだ、朝日が全てを失う事さえ、皮肉な事に光が叶えてくれたんだよ。
大好きだった人が……。

けれど、気づいてしまった。
わたしが朝日を好きになったからじゃない。
たとえあの頃のわたしの願い通り朝日の大切な物全てを奪ったとして、わたしはそれで納得出来ていたのだろうか。
こんな事を考えてしまうくらいなら、朝日の事を好きにならなきゃ良かった。

出会わなければ良かった。一緒の時間を過ごさなければ良かった。好きにならなければ良かった。

「きっとさくらちゃんは…宮沢さんの事を好きにならなきゃ良かったと思ってるんだろうけど…」

「はい…時間が戻せるなら…戻りたいな…」

全部全部光だったあの頃へ。
片思いでも、シーズンズで皆で笑い合えていた頃に戻れるのなら。

「時間が何度戻っても、あなたが宮沢さんを知れば、あなたは宮沢さんを好きになったんじゃないかな?」

由真の言葉に、涙が止まらない。
何度も考えた事。
出会わなければ良かった。
わたしはわたしなりに光を本当に好きだったと思う。
最初から、ずっと光を好きだった

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