【完】さつきあめ〜2nd〜
「朝日に愛されてるあなたに言われて、あたしが何も傷つかないとでも思った?あたしはそんなに強い人間じゃないわよ。
有明さんにはダイヤモンドを立ち上げた時から誘われてたの。けれどその時は断った。
ずっと機会を伺っていた。何でか分かる?」
「…分かりません…」
正直に言うと、わたしにはゆりの考えている事なんてさっぱり分からなくて
けれどそんなわたしに対して呆れるような顔を見せて、冷たく言い放った。
「あたしだって朝日が皐月に賭ける想いがどれほどか知っているつもりだった。
だからこそ、朝日が1番傷つく方法で、裏切りたかった………」
「そんな事って……」
「あなたには分からない感情かもね。
いつだって、朝日や有明さんに守られていて
寂しくなったらどっちかにすがればいいじゃない」
「…あたしは…そんなつもりない…」
「じゃあどういうつもりだって言うのよ。
あたしはどんな事があったって、朝日がどんな女のところに行ったって最後に自分のところに帰ってくればそれでいいって思ってた…
あたしとあんたじゃ、朝日へ対する想いの強さだって全然違う。
あたしがどんな事をしたって七色でずっと1番でいたのは、朝日がいてくれた。それだけ。
そんな風に必死にならなくても朝日に愛してもらえるあなたなんかにあたしの気持ちなんてこれぽっちも分かんないだろうけど!」
「ゆりさん……」
「……だから有明さんとずっと一緒にいた方がいいって前に言ったじゃない…。
いつかあなたは後悔する日が来るって……
ねぇ、どうして朝日だったの…?
どうして朝日は何も持ってないあなたを選ぶって言うの?
有明さんでいいじゃない…。だってずっと好きだったんでしょ?半分同じ血が流れているんだもの。朝日だって、有明さんだって同じじゃない…」