【完】さつきあめ〜2nd〜
「朝日、ごめんなさい……」
そう謝ったら、朝日はもっともっと辛そうな顔をして、わたしの手を握ってきた。
指先まで、熱い体温。こんな時までそんな事を考えてしまうなんてどうかしてる。
握っていた手の力が、強くなる。
どうして、すれ違ってばかり。大切な物ほど
「ゆりさんの事…あたしのせいだ…」
「お前のせいじゃねぇよ。
…ゆりの事は…俺がしてきた事が当然として返ってきただけだ。
俺はあいつに酷い事ばかりしてきて、結局ゆりの気持ちを利用してたんだから」
「それでも…やっぱりごめんなさい」
「だから、何でお前が謝るんだよ」
「だって皐月は朝日の夢でしょ?その夢はゆりさんがいなかったら叶えられないんじゃない?」
「んな事ねぇよ。七色の事はお前がいちいち考える事じゃねぇんだよ。
俺が俺自身で解決する事だ」
「だって…」
「だってじゃねぇ!お前は何も心配すんな!」
そう言われたら、何も言えなくなってしまうじゃない。
わたしはもう、守られる側でいるのは嫌なのに。
「それ、本気で言ってるんすか?宮沢さん」
わたしたちの会話に割って入ってきたのは、沈黙を守っていた高橋だった。