【完】さつきあめ〜2nd〜

「宮沢さんは何も分かってないんだ…。
たとえ七色グループが宮沢さんの物だとしても…深海さんはシーズンズを
由真さんや沢村さんだって双葉を守りたいはずなんだ…。
俺たちは…七色グループに残った人間は…宮沢さんのただの駒なんかじゃないんですよ!
それぞれに皆夢があって、夢を持って、ここに立っている!あなたが一人で背負う事じゃない!」

高橋の言葉に、朝日が力なく項垂れる。

「たとえば俺だったら……深海さんには世話になってるからこのグループのトップに立ってほしかった。
だから俺が上に行けば、その権言が得られるかもしれないと思って頑張ってきた。
自分の為に働いてる人間ばかりじゃないって事ですよ!
だって…同じ店で働いているのならそこで出会ったのなら俺は仲間だと思ってるから!
だから宮沢さんも全部が全部ひとりで抱え込まずに、俺たちに少しくらい頼ってくれたって構わないんですよ!」

「………俺にどうしろって言うんだ………」

高橋はソファーに座っていたわたしの腕を持ち上げて、その場に無理やり立たせた。ふら付く足元を無理やりなんとかその場に踏み止ませるだけで精一杯だった。
強い人だと思っていた。けれど横で背筋を伸ばし経つ人が、こんなに大きく見えた事はいままでなかった。
もう一緒に働いていた頃の高橋ではない。

「いつまでこいつに守られる側でいさせるつもりなんだ!
誰よりもこいつが宮沢さんを想っていて、宮沢さんを守りたいはずなんだ!
あなたが思ってるほど、こいつは弱い女じゃない!」

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