【完】さつきあめ〜2nd〜

「とりあえず着替えてくる!遠藤社長の方が先に入った?先ならそっちから謝る!」

「いや、田中さんの方が先だな」

「…じゃ田中さんから着く」

「いや、今日は遠藤さんから先に着け。
VIP空いてないって言ったら相当不機嫌になってたから…」

「でも……」

「だいじょうぶだから!!!
取り合えずさくらは急いで着替えておいで!」

「はい………」

急いで更衣室に向かうと、何人かの女の子たちがいて一斉にこちらを見られる。
まるで品定めでもされているかのようだ。
ONEの女の子たち。誰がゆりの取り巻きかなんか分からないけど、何人かの女の子たちがわたしを見てひそひそと声をひそめて何かを言っている。
非常にいずらい雰囲気の更衣室。

さっそく気が重くなる。
突き刺さる視線を感じながら、高橋に指定されたロッカーを開ける。

「!!」

ONEには2種類のロッカーがあった。
ひとつは鍵なんて何も着いていないロッカーで、もうひとつはボタン式でロックのかかるロッカーだ。
売り上げ順で使っていいロッカーが決まっているらしく、もちろんONEでは新人のわたしのロッカーには鍵なんてついていない。
そのロッカーに出勤した時何着かワンピースを入れておいた。

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