【完】さつきあめ〜2nd〜
「じゃあ、菫さんは2階の8卓をお願いできますか?
団体のさくら指名の卓だけど忘年会で社長連中が揃ってるから、上手くやれば大きな売り上げにつながる」
「おっけ、お酒ならいくらでも飲めるから。出来るだけ高額のボトルが空きそうなところに着かせて」
そう言って菫は黒服と共にお客さんのところへ向かった。
ゆりには今日会っていない。
けれど、指名の卓を回っていたら三浦の姿を見かけた。
わたしを見て、少し気まずそうにしていた気がする。
わたしとゆりがいれば、やっぱり彼はゆりを指名する。そんなの分かっていた。
でもいま考えるべき事はそんな事じゃない。
少しでもゆりの売り上げに追い付く事。それもひとりじゃ出来ない事だから、人の優しさは素直に受け取っておく事にする。
バースデー期間のゆりが、どれだけの売り上げを叩きだすなんて分からないのだから、1分1秒だって無駄には出来ない。
少しでも手を抜く事があったのなら、協力してくれる人すべてに失礼なのだから。
けれど、色々あった今日
ゆりにも少しの焦りがあったのかもしれない。
更衣室でゆりとゆりの派閥のひとりであるミィが言い争っているのが、営業終了直前に起こっていた。
ミィは表立ってわたしに嫌味は言ったりはしなかったけれど、ゆりの派閥の女の子にくっついているイメージの人だった。