【完】さつきあめ〜2nd〜
「何よ、遅刻なんて余裕じゃない」
「ゆりさん……」
「菫さんまでTHREEから呼び寄せて、本当にひとりじゃ何も出来ない子ね。
でもあたしはあなたとは違うわよ。少しくらい売り上げが上がってると思って調子に乗ってんじゃないわよ」
「ゆりさん…だいじょうぶですか?」
「バカにしてんじゃないわよ!人の心配する前に自分の心配したら?!」
1日1日売り上げが出る。
そこに結果という形があって、先週の土曜日わたしはゆりの売り上げに勝った。
それもたった1日の事で、総合的に考えてみればゆりが全然焦る差ではなかった。
けれども週の初め、この日の売り上げもわたしはゆりに勝った。
確かに今日のゆりは、ゆりらしくなかった。あの人はいつも余裕で、上から人を笑って見ているような人で
その小さな焦りが、彼女らしさを失わせていた。
だって事実、ゆりはヘルプの女の子たちを表立って叱ったりするようなタイプではなかったから。
ゆりたちの間に気まずい空気が流れている更衣室ないで、営業終了後わたしは雪菜にこっぴどく叱られていた。
それを庇うのは愛やるなだった。でも愛やるなの言葉を雪菜は一切聞かなかった。
ふわふわしていてどこか掴みどころがないように見えたって、誰よりも仕事に厳しい人だっていう事は分かっていた。だから今日自分が許されない事をしたのも知っていた。