【完】さつきあめ〜2nd〜
「初めてあの家で、血の繋がった光と綾と過ごした幼少期は
そこに大人特有の嫉妬や悲しみなんか存在しなくてさ……
いま思い出しても、兄弟で仲良く笑いあってた記憶だけなんだ。
あの日々だけは紛れもなく純粋で、優しかった思い出なんだ…。
たとえ親がいなくても、光と綾がいるって思えた家族の場所なんだ……」
「光にとっての朝日も…きっとそうだったと思うよ…」
「でもそうだって思えるようになったのはやっぱりさくらに出会えたからだと思う。
俺はお前に出会えたから、人を許そうと思えた。
やっぱり俺を変えてくれたのは、お前だったんだよ」
「違うよ…あたしは何もしてない…」
「俺さ、父さんに会おうと思ってて…
中学を出てからずっと会ってなかったけど、実際あの人が何を考えて何を思っていたかなんてあの人自身の口から聞いた事はないんだ。
正直に言うと、自分の存在も母親の事もどう思ってるか聞くのが怖かった……。
自分が望んだ言葉が返ってこないなら、それは聞かない方が傷つかないって思ってた。
でも今なら、そこに自分の望む答えが返ってこなくても、受け入れられる気がするんだ。
俺はもう、あの時の小さな子供なんかじゃないから……」