【完】さつきあめ〜2nd〜
「さくらさん、美優さんたちの卓がお帰りになりますから、お見送りお願いします」
「はい!」
卓から抜かれて、美優たちをお店の前まで見送った。
「美優ちゃん、今月で最後でしょ?会いにいくから」
「ありがとう~!高級なボトル沢山おろしてもらっちゃお~っと」
わたしが言うと、美優はおどけて笑った。
ドンペリ10本~なんて、はるなに向かっておどけて抱き着く。
「さくら……」
「綾乃ちゃんも本当にごめんなさい。何度も連絡くれてたのに…返せなくて…」
「あたしの事は全然いいの。ただ美優は本当にあんたを妹みたいに可愛がってたから、ずっと心配してたのよ。
涼とも美優の事ずっと心配で…。あたしや涼は何となくさくらがどこにいるかはわかってたけど…」
ネオンの下、少し離れた場所で美優たちがはしゃいでいるのが見える。
それが滲んでぼやけて見えるのは、もう悲しいからではなかったはずだ。
目の前で真っ直ぐで強い瞳を向ける綾乃が、光と朝日の瞳に重なって見えるから。優しくて強い、寂しくて儚いその瞳が、わたしの大好きだった人たちとどこまでも一緒だったから。
わたしは、綾乃の肩に顔をくっつけて呟いた。