【完】さつきあめ〜2nd〜
その日の営業終了後、更衣室でレイと改めて再会を果たした。
「レイさん!今日は美優ちゃんたちの席ありがとうございました!」
「なぁ~んも!綾乃ちゃんたちと喋りたかったし、こちらこそごちそうさまでした」
出会った頃と変わらない。いやあの頃よりもパワーアップしているだろうか。
ピンクのワンピースを脱ぐと、これまた可愛らしい淡いピンクのニットに身を包む。
くるくるのお人形さんのような眩しい金髪と、そんな可愛らしい彼女を飾るアクセサリーたち。
それは意外だった。
双葉というお店のカラーにすっかり染まっているのかと思えば、自分のスタイルを貫き通してるらしく、派手な髪も派手な化粧もあの頃のままだった。
レイらしい、とも思った。
けれども双葉のカラーに染まらなくとも結果を残している。あの頃よりずっと明るい瞳をしてレイはお店で働いていた。
くりくりの大きな瞳で、レイはじいっとこちらを見つめた。
「さくらちゃん、ちょっと痩せたね」
「え?!そうかな…。これでも大分戻った方なんだけど…」
元々太りやすい体質ではなかった。
どちらかと言えばどれだけ食べても痩せっぽち。
けれども病院に通いだしてからは、とりあえず気持ち悪い、と思われるレベルは脱したと思われる。
ここ何か月はガリガリだった。病気かとも思う程。医者からはそんな生活を続けているとあなた死にますよ、と釘を刺されていた。
元から標準体重に満たなかった体重。太りにくい体質な上に食欲も出なかった毎日は、体力も極限まで落ちて、想像以上にきつかった。