私たちの六年目
「梨華。これって……」


「あ……」


ベッドに横になったまま、目を見開く梨華。


「例の彼の……?」


俺の問いに、梨華は申し訳なさそうに頷いた。


もしかしてと思って衣類の山を探ってみれば、服だけでなく靴下や下着までもが紛れ込んでいた。


こんなものがここにあるということは、不倫相手とはこの部屋で会っていたんだ。


じゃあ、今梨華が横になっているそのベッドで二人は寝たのか?


今俺が座っているこのソファーも、その男が座っていた?


それって、なんだか……。


「これ、どうするんだ?」


「え……?」


「持ち主に、返しに行くわけにもいかないだろう?」


「あ、うん。そうだね。

秀哉、ついでにそれも捨ててくれる?」


梨華にそう言われて、俺は無言でその男物の衣類をレジ袋へと突っ込んだ。


そして、残りの衣類も全てたたみ終えると、今度はキッチンへと向かった。


「これも捨てないとな……」


ボソッと呟いて、俺はおもむろにシンク横に大量に並べられたペットボトルを洗い始めた。


洗いながらふと目の前の棚に視線を移すと、置かれている食器が全てペアになっていることに気づいた。


お皿も茶碗もグラスもマグカップも全てが二個ずつ。


お箸も二膳あるし、それから……。


仲良く並んだピンクと青の歯ブラシ。


これも、その不倫相手のものなんだろう。


ムカついた俺は梨華に断りもせず、青い歯ブラシをレジ袋にポイッと放り込んだ。
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