私たちの六年目
「じゃあ俺、ゴミを捨ててくる」


「ありがとう」


ゴミの入ったレジ袋6つを手にすると、俺は梨華の部屋を出てエレベーターの下矢印ボタンを押した。


梨華の話だと、このマンションは24時間いつでもゴミを出せるらしい。


だったら、さっさと捨てたらいいのにと思った。


まぁ逆にいつでも出せるから、出さないのかもしれないけど。


いつの間にか来ていたエレベーターに乗り込むと、下りていくエレベーターと共に気持ちがズンと沈んでいった。


梨華の部屋に行ってみたいとあれほど思っていたのに、いざ行ってみると嬉しいどころか笑顔の一つも出てこない。


それも、そのはず……。


あの部屋は、不倫相手の思い出でいっぱいだからだ。


不倫中の二人がゆっくり会える場所は、おそらくあの部屋だけだったんだろう。


着替えや歯ブラシがあるところを見ると、何度も出入りしていたに違いない。


はっきり言ってあの部屋には、前の男の匂いが染みついている。


衣類や歯ブラシを捨てたくらいじゃ、どうにもならないくらいに。


既に二人は別れているはずなのに、まだその男がそばにいるようで。


俺は、ひどく気分が悪かった。
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