私たちの六年目
それからはもう、まるで夢のようだった。


次々に運ばれて来る美味しい料理。


最上階の窓から見渡す素晴らしい夜景。


静かに流れる優雅なBGM。


アンティーク調の落ち着いた内装。


そこに、まるで自分じゃないみたいな私がいて。


なんだか魔法をかけられたみたい。


こんな経験、生まれて初めてだ……。


「崎田君」


「はい?」


「ありがとう……。

今夜、ここへ連れて来てくれて。

私ね、男の人に頼りにされることはあっても。

女の子扱いされたことってなかったの。

でも今日は、崎田君が全部エスコートしてくれたでしょう?

まるでシンデレラになったみたいで、すごく嬉しい」


私の口からシンデレラなんて言葉が出ること自体、気持ち悪いだろうけど。


でも本当は、素敵な王子様に巡り合うシンデレラに憧れていた。


私の言葉に、崎田君がにっこりと笑う。


「僕の方こそありがとう。

またこんなふうに菜穂さんと食事が出来て、すごく嬉しいんだ。

あの……、もし良かったら。

これからもこうして、僕と食事に行ってくれませんか?」


恥ずかしそうに、頬を赤らめる崎田君。


以前は、強引な感じが少し苦手だと思っていたけど。


こうして見ていると、なんだか可愛い。


私にはもう好きな人なんていないんだもの。


いろんな男性に目を向けたっていいよね?


「うん。ぜひ」
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