私たちの六年目
なぜ、あの二人がこの場所にいるのか。


それは、考えるまでもなかった。


あれはきっと梨華のご両親。


結婚の報告をかねて、食事会をしているんだ……。


どうしてよりによって、こんなところで遭遇しないといけないの?


もう二度と、二人の姿を見たくなかったのに。


梨華のワンピース姿、すごく可憐で綺麗。


髪型も華やかで、後ろから見ただけで美人を想像してしまうくらい。


私がちょっと手を加えたところで、あの美しさには到底かなわない。


そう思ったら、なんだかここにいる自分が惨めに思えて来た。


秀哉と梨華、結婚へ向けて順調に準備を進めているんだね。


やたら和やかな雰囲気だから、もうすっかりご両親に気に入られているんだろう。


秀哉は見るからに好青年だし、気に入られて当然か。


背中を向けていても聞こえて来る、あのテーブル席の笑い声。


なんだか耳を塞ぎたい衝動にかられてしまう。


ついさっきまで、あんなに幸せな気分だったのに。


今はもう奈落の底へ突き落とされたような気分だ。


しばらくすると、メインディッシュが運ばれて来たけど。


せっかくの料理も、なんだかじっくり味わえない私だった。
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