私たちの六年目
さっき俺が、新居や結婚式の資金をどうするのかと尋ねた時。


完全に俺が払うものだと思っていたくらいだ。


それ以外のお金だって、俺が払うだろうと見込んだはずだ。


「やだ。そんなわけないじゃない!」


顔を真っ赤にさせて怒る梨華。


怒るということは、やっぱり図星……?


「じゃあ、もし俺がいなかったらどうしてた?

仕事を辞めてた?」


俺の顔は見ずに、目線の先の壁をじっと睨んでいる梨華。


その横顔は、とても険しい。


「梨華、言ってたよな?

俺が仕事を辞めるのもったいないって話した時。

職場の人間関係が嫌なんだって。

それが仕事を辞めた一番の原因だったんじゃないのか?」


妊娠が原因でも、つわりが原因でもなく……。


「違う。妊婦で働くことに自信がなかっただけ」


「本当にそうかな?

俺がプロポーズしたから、これでやっと嫌な人間関係から逃れられるって。

そう思ったんじゃないのか?」


「だから、そうじゃないってば!」


「じゃあ、どうしてあんなに簡単に仕事を辞めたんだよ。

赤ちゃんが産まれたら、それこそお金はすごくかかるのに。

そのためにも、梨華はギリギリまで仕事をして、子供のために貯金するべきだったんじゃないのか?」


一体誰の子供なんだよ。


自分の子供だろう?


それなのに、そのためのお金の準備は放棄して、俺に全部丸投げして。


そのくせ結婚式の準備は頑張るだなんて。


俺って一体何なんだよ。


お金を出してくれる都合の良い男なのか?
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