私たちの六年目
俺にそう言われて、黙り込む梨華だったけど。


ゆっくりと俺に視線を移した。


その目は、俺のことをきつく睨んでいて。


ドクンと、心臓が大きな音を立てた。


「秀哉、私のこと本当に好きなの?」


「え……?」


「私のことずっと好きだったって言うけど、本当はそんなに好きじゃないんじゃない?

じゃなきゃ、そんなふうに怒ったりしない。

好きな女に……」


あまりにも論点がずれている梨華に、俺はハッと強く息を吐いた。


「俺は怒ってなんかないよ。

現実は厳しいって言ってるんだ。

今からちゃんとお金を貯めておかないと、後で大変なことになるってわかって欲しいだけなんだ」


俺の言葉に、プイッと顔を背ける梨華。


そしてボソッと、独り言のように何かを呟いた。


「だったら、プロポーズなんてしなければ良かったじゃない……」


え……?


今、なんて言った?


何を言ったのか知りたくて梨華の顔を覗き込んでいたら、梨華が突然パッと俺の方を向いた。


「秀哉をあてにして何が悪いの?

プロポーズするってことは、私と赤ちゃんの面倒を見てあげるってことでしょう?

それが出来ないなら、最初からプロポーズなんてしないで!」
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