私たちの六年目
ズキン、と。


胸の奥が痛んだ。


ショックだった。


秀哉の気持ちがこんなに変化していても、現状は全く変わっていないことに。


だけど……。


秀哉の手を取って、そっと握った。


秀哉の手は、相変わらず大きくて温かい。


「秀哉、あのね……。

私の気持ちは、変わってないよ……」


私の言葉に、秀哉が目を大きく見開いた。


「嘘だ……。

だって俺……、菜穂の目の前で梨華にプロポーズして。

菜穂をひどく傷つけた。

もう二度と会わないって言われてしまうくらいに……」


それを言われると、あの悲しかった光景を思い出す。


秀哉が梨華に手を差し出して、その手を取った梨華の姿を……。


「確かに私、秀哉のことを必死に忘れようとしてたよ。

他の人に目を向けてみようかなって思い始めてた。

だけど……。

もう絶対に会わないって心に誓ってるのに、なぜか秀哉に偶然会ってしまって。

そのたびにドキドキして。

この三日間も、秀哉の姿ばっかり探してた。

もしかしたら、イベントに来てくれるんじゃないかと思って……。

だから、さっき秀哉が現れた時。

実はすごく……嬉しかったの……」


だから、きっと。


泣きそうになったんだと思うの……。
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