私たちの六年目
「ねぇ、どうして……?」


「え……?」


「どうしてそんなに親身になって考えてくれるの?」


私を好きだと言ってくれた崎田君。


私の気持ちが崎田君に向くまで、ずっと待つと言ってくれていた。


だけど私は結局その気持ちに応えられずに、秀哉の元へ行こうとしているのに。


「ううん、僕は全然親身なんかじゃないですよ。

本音では、秀哉さんとうまくいって欲しくない。

僕と付き合って欲しいって思ってる。

でも……」


「でも?」


「自分でも、よくわからないんだけど。

心のどこかでは早く全てが解決して、菜穂さんに幸せになって欲しいとも思うんだ。

本当に好きな人には、やっぱり笑顔でいてほしいものなんですね……」


崎田君がそんな優しい言葉をかけてくれるから、目に涙が一気に溜まってしまった。


「ありがとう、崎田君。本当にありがとう」


こんな自分を好きになってくれて……。


「菜穂さん、安心するのはまだ早いですよ。

秀哉さんが菜穂さんを泣かすようなら、僕は遠慮なく菜穂さんを奪いに行きますからね」


笑顔でそう話す崎田君に、私は少しだけ口角を上げた。
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