私たちの六年目



「ねぇ、菜穂さん。待ってくださいよ」


飲み会もお開きになって、私は駅までの道を早足で歩いていた。


そんな私に付いて来る崎田君。


私は、かなりイライラしていた。


「ねぇ、菜穂さん。こっち向いてくださいってば」


崎田君の言葉に、カツンと歩く足を止めて振り返った。


「一体何なのよ!」


私が大きな声を出したから、周りにいた人達が一斉に私の方を向いた。


「何をそんなに怒ってるんですか?」


「怒りもするわよ。

私の友達に、根掘り葉掘り色んなことを聞き出して。

一体どういうつもり?」


飲み会の後半、秀哉がずっと暗い顔をしていた。


梨華のこともあるし、元気付けてあげたかったのに。


崎田君が変なことばかり言うから、余計に落ち込ませてしまった気がする。


「本当にわからないんですか?」


「何が?」


「菜穂さんのことが、知りたいからですよ」


崎田君は、真剣な顔をしていた。


「ねぇ、もしかして……。今日偶然会ったのって」


コクンと頷く崎田君。


「はい、わざとです。

会社を出た菜穂さんの後を付けました」


思わず、ハッと強く息を吐いた。


やっぱりそうだったんだ……。


あの居酒屋は会社から結構離れているのに、こんな偶然があるわけないもんね……。
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