私たちの六年目
「後を付けたことは謝ります。

でも、菜穂さんだってひどいと思いますよ」


「ひどい?」


私がひどいって、どういうこと?


「郁未さんが言ってましたけど、菜穂さんって大学の時、アプローチして来た男性を適当にあしらってたそうですね。

僕にしたみたいに……」


「あれは郁未の勘違いよ。私のことなんて誰も眼中になかったわよ」


誰にも好きだとか、言われたことないし。


「今まで一度も恋人がいなかったのだって、中学高校と女子校だったからですよね?」


「女子校でも、モテる子はモテるわよ」


他校の男子生徒と付き合ってる子なんて、ゴロゴロいたし。


「悪いですけど……」


そう言うと崎田君は私の方へ、一歩また一歩と距離を縮めてきた。


「そういうの、僕には通用しませんから」


低い声を出して、私を見下ろす崎田君。


私は、無意識に後退りしていた。


「この前、僕が聞きましたよね?

誰か好きな人がいるんですか?

それは大学の時の友人ですか?って。

そうしたら菜穂さん、怒って逃げたんですよ?

そういう態度って。

イエスって言ってるのと同じだとは思わなかったんですか?」
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