私たちの六年目
郁未の問いかけに、笑顔で頷く秀哉。


そんな秀哉を見た郁未と守は「えーーっ!」と店いっぱいに響くくらいの大声を上げた。


「秀哉、あんた菜穂のことが好きなの?」


「ぎゃー、頭が混乱するー! マジかよ、おい!」


落ち着かない様子の二人。


まぁ無理もないよね。


急にこんな話を聞かされたら……。


「秀哉、あんたって本当にバカね」


呆れ顔の郁未。


「本当だよ。

菜穂の目の前で梨華にプロボーズなんかしてさ。

なんでこんなに遠回りしなきゃなんなかったわけ?

最初から菜穂を選んでおけば、お前は大学時代からずっと幸せだったはずだろ?」


守に言われて、シュンと落ち込む秀哉。


「ごめん、ほんと……。

俺、鈍くて……」


「鈍いなんてモンじゃないわよ!」


そう言ってテーブルをダンッと叩く郁未。


郁未はちょっと怒っているようだ。


「つか、何がきっかけで自分の気持ちに気づいたんだ?

梨華が嫌になったから、菜穂にしたってわけじゃないんだろう?」


守の問いに、秀哉はふぅと息を吐いた。


「きっかけは多分、俺が梨華にプロポーズしたあの日。

居酒屋を出て行った菜穂を追いかけただろう?

あの時に菜穂にずっと好きだったって告白されて。

それが俺にとっては、すごく衝撃的だったんだ……」
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