私たちの六年目



「お疲れー」


カチンと缶ビールを合わせると、私達は早速ビールを口にした。


「あーうま」


「だね」


仕事の後の一杯目って、どうしてこんなに美味しいんだろう。


「そう言えば今日って、例の飲み会はなかったの?」


「あぁ、中止になったんだ。

っていうか、しばらくやめておこうって話になった。

梨華はともかく、菜穂まで来ないんじゃ、全然盛り上がらないから」


「うそ。なんかごめん……」


「なんで謝るんだよ。別に菜穂のせいじゃないよ。

俺らが菜穂がいないとつまらないってだけ」


そう言ってもらえると嬉しいけど、なんだか複雑……。


「この部屋に来たの、久しぶりだ」


そう言って秀哉が、私の部屋を見回す。


もう一年ちょっとくらい、ここへは来てないよね。


「あんま変わってないけど、なんか前よりスッキリしてるな。

大学関連の物が無くなったから?」


「そうだね。教科書は後輩に全部あげちゃったから」


「えっ、教科書あげたんだ」


「あげたよ。だって、教科書って買うと高いじゃない。

ついでにノートもテストも全部譲ったら、みんなすごく喜んでたよ。

私は部屋が片付くし、一石二鳥だった」


「菜穂って、やっぱ頭良いな。俺にも教えてくれたら良かったのに」


「あはは、ごめん」


だって……。


卒業式の後の秀哉は、失恋の痛手でそれどころじゃなさそうだったから。
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