私たちの六年目
「ねぇ、何かあった?」


部屋で飲み始めて15分経った頃、秀哉に声をかけた。


「え、なんで?」


壁にもたれて、あぐらをかいて座っている秀哉。


すっかり寛いでいるのは、気を遣っていない証拠だ。


「だって私に会いに来る時って、ほとんどが梨華絡みだった気がするから。

だから、梨華と何かあったのかなって」


全部がそうじゃないけど、梨華のことで辛い時に来ることが多かった。


私の言葉に、秀哉が「あー……」と頭を掻く。


「ごめんな。

俺の気持ちを知ってるのは菜穂だけだったから、あの頃は随分お前に頼ってたよな」


謝る必要なんかない。


梨華の話を聞いているのは、正直つらかったけど。


それでも私を頼ってくれているうちは、秀哉と二人きりで会えたから。


何でも話してくれて。


気兼ねなく一緒にいられたことは、嬉しかった。


「今日俺が菜穂に会いに来たのはさ……」


「ん?」


私の向かいに座っている秀哉に目を向けると、秀哉はなぜか優しい顔でにっこりと微笑んだ。


「菜穂に、無性に会いたくなったから」
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