私たちの六年目
秀哉にそう言われて、みるみる頬が熱くなっていく。


当然だけど、お酒のせいなんかじゃない。


深い意味はないんだろうけど、私はなんて言えばいいのやら。


「もうひと月近く菜穂に会ってないだろ?

そんなこと初めてだから、話がしたくなって」


「あぁ、なんだ。そうか」


「ん?」


「梨華の事を話したくなったんだね」


梨華の不倫は、秀哉にとってものすごい衝撃だったんだもんね。


つらい気持ちを、吐き出したくもなるよね……。


一人で納得していたら、秀哉の表情がなぜか険しくなっていて。


その顔にドキッと心臓が跳ねた。


「違うよ、菜穂」


「え……?」


「別に梨華の話をしたかったわけじゃない。

本当に菜穂に会いたかったし。

普通に話がしたかったんだ」


うそ……。


ただ、私に会いたかっただけ?


「俺が菜穂と仲良くしてるのは、梨華の事があるからじゃない。

それがなくったって、俺は菜穂が好きだし。

すげー大事だよ。

それは、ちゃんと知ってて……」


「秀哉……」


なんだかビックリ……。


梨華の事がないと、秀哉とここまで仲良くなれていないって、ずっと思っていたから。


その"好き"の意味が恋愛じゃなくて、友情の"好き"だとわかっていても。


秀哉に好きって言われるのは、やっぱりすごく嬉しい……。
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