私たちの六年目
私はお茶を少し口にすると、コトンとカップをテーブルに置いた。


そして、静かに秀哉の話に耳を傾けた。


「俺も崎田君と同じように、相手の男に言うと思う。

もう梨華と会うのはやめてくれ。

俺ならあんたと違って、梨華だけを大事にするからって……」


「そうだね……」


梨華の不倫相手と話すチャンスがあれば、秀哉はきっとそう言うだろうね。


「でも、その男がさっきの俺みたいにこう言ったら……?

キミは梨華にふさわしくない。

そう言って、梨華を連れて行ってしまったら。

やっぱ、ふざけんじゃねぇよって思うよ」


「秀哉……」


「だとしたら、俺って随分身勝手だよな。

崎田君は真剣に菜穂のことを思っているはずだし。

菜穂のことをきっと大事にするに違いないのに。

そのチャンスを俺が奪ってるんだ。

それって、間違っているのかもしれない」


ちょっと待って。


何を言ってるの?


まさか、秀哉……。


「菜穂……」


「な、に……?」


恐る恐る秀哉に目を向けると、秀哉はいつになく真剣な顔をしていた。


「やっぱり俺達……。


二人きりで会うの、


やめる……?」
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