没落貴族の娘なので、医者として生活費を稼いでいます!
屋敷の中に入ると、父と母は着替えてくると言って二階に上がっていった。
しかし、二人以上に豪華な服を着て疲れているであろうコーネリアは着替えようとせず、私とともに居間にいた。

「コーネリア、着替えなくていいの?」

「着替えますわ。目的を果たしてから」


?目的とは何だろう。先ほど言っていたお願いだろうか。

「さっき言っていたお願いのこと?」

「ええ!」

「わかった。私でかなえられることならかなえてあげる」


そう言うと、コーネリアは身を乗り出してきた。

「あのね、私シエルお姉様に一緒に踊って欲しくて!」

「踊る?さんざん今日踊ってきたでしょ?」

「もちろん何人かの方と踊りました。しかしこれは別です!一曲でいいので踊ってくれませんか?」


「・・・はあー。わかった、いいよ。その代わり一曲だけ。それが終わったらすぐに寝なさい」

「やったわ!あろがとうシエルお姉様」


コーネリアは大喜びで今にも踊り出しそうだ。まったく、私もコーネリアに甘すぎる。
基本的に何でもお願いはかなえてしまう。


「では早速。シエルお姉様はもちろん女性役をやられますよね?」

「いや、男性役を。せっかくそんなにきれいなドレスを着ているのだから、コーネリアが女性役でなくては」

「しかしそれでは・・・」


「いいから。ほら、手を取って」

コーネリアの手を引き、部屋の真ん中に行く。そしてそこで伴奏が何もないまま踊り出した。


「し、シエルお姉様。ダンス踊れたのですか?」

「もしかして、踊れないと思ったから誘った?」

「え、ま、まさか・・・」

「顔に図星って書いてあるよ」


大方私が10歳という歳で家を離れ、ずっと医者としての勉強しかしていないからダンスも踊れないと思ったのだろう。
それをネタにからかいたかったみたいだが、残念なことに私は踊れる。


< 18 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop