没落貴族の娘なので、医者として生活費を稼いでいます!
「社交界デビューをしていない?体が弱いのか?」
「いえ、そういう情報はございません」
「・・・わざとか」
この国の第一王子は将来王になるのが約束されたも同然。さらにその身分だけでなく、美しい外見と賢さまで兼ね備えたラシェルは令嬢に大人気だ。
ラシェルと結婚すれば将来は王妃になれる。あの手この手で令嬢たちはラシェルの気を引こうと躍起になっている者ばかりだ。
「わざと一人だけパーティーに参加せず、姿も見せない。そうやって我々の気を引き、ラシェル様の正妃の座を奪おうという算段ですね。没落した家も娘が王子の妃になれば再興できますから。まったく下賎な・・・」
「それ以上あの方とその家族を愚弄するのは許さない」
セインの言葉を遮ったのはとても冷たい声だった。
「・・・いつの間に・・・?」
セインは昔から第一王子ラシェルの乳兄弟として育ってきた。だからいつ、どんなときでもラシェルのことを守れるように訓練してきた。なのにそのセインが第三者が入ってきた気配に気づけなかった。
「帰ってきていたのか」
「ええ兄上、今朝帰ってきたばかりです。まあすぐに戻りますが」
「・・・それで、なぜそんなにレティシア子爵家の肩を持つのです?」
「では逆にお聞きしますがセイン。本人を見たこともないくせによくそこまで言えますね」
「っ、それは・・・」
あまりにも冷たい声にセインがひるむ。
「噂や憶測で決めつけることはよくない。自分の目で見て判断すべきです」
「たしかにそれは一理ある。それにおまえがそこまでレティシア子爵家をかばうということは、彼女が例のオーガストの弟子だろう?・・・こんどセインとともに行ってみようか」
「なっ、兄上何を・・・」
「自分の目で見ろといったのはおまえだろう?なに、ただの一般人として行くさ。王子だとは絶対にばれないようにするしおまえとの関係も伏せる」
「まあ・・・何もばらさないのなら・・・」
相手の同意をもらったラシェルは小さくうなずくと、セインを見た。
「おまえもそれでいいな?」
「はい、ラシェル様がそうおっしゃるのなら」
セインは胸に手を当てて恭しくお辞儀をする。乳兄弟としてどんなに近い存在でも、一国の王子と貴族の息子では決して埋められない大きな身分の隔たりがある。
だからセインはラシェルに言われたことには従順だ。
「いえ、そういう情報はございません」
「・・・わざとか」
この国の第一王子は将来王になるのが約束されたも同然。さらにその身分だけでなく、美しい外見と賢さまで兼ね備えたラシェルは令嬢に大人気だ。
ラシェルと結婚すれば将来は王妃になれる。あの手この手で令嬢たちはラシェルの気を引こうと躍起になっている者ばかりだ。
「わざと一人だけパーティーに参加せず、姿も見せない。そうやって我々の気を引き、ラシェル様の正妃の座を奪おうという算段ですね。没落した家も娘が王子の妃になれば再興できますから。まったく下賎な・・・」
「それ以上あの方とその家族を愚弄するのは許さない」
セインの言葉を遮ったのはとても冷たい声だった。
「・・・いつの間に・・・?」
セインは昔から第一王子ラシェルの乳兄弟として育ってきた。だからいつ、どんなときでもラシェルのことを守れるように訓練してきた。なのにそのセインが第三者が入ってきた気配に気づけなかった。
「帰ってきていたのか」
「ええ兄上、今朝帰ってきたばかりです。まあすぐに戻りますが」
「・・・それで、なぜそんなにレティシア子爵家の肩を持つのです?」
「では逆にお聞きしますがセイン。本人を見たこともないくせによくそこまで言えますね」
「っ、それは・・・」
あまりにも冷たい声にセインがひるむ。
「噂や憶測で決めつけることはよくない。自分の目で見て判断すべきです」
「たしかにそれは一理ある。それにおまえがそこまでレティシア子爵家をかばうということは、彼女が例のオーガストの弟子だろう?・・・こんどセインとともに行ってみようか」
「なっ、兄上何を・・・」
「自分の目で見ろといったのはおまえだろう?なに、ただの一般人として行くさ。王子だとは絶対にばれないようにするしおまえとの関係も伏せる」
「まあ・・・何もばらさないのなら・・・」
相手の同意をもらったラシェルは小さくうなずくと、セインを見た。
「おまえもそれでいいな?」
「はい、ラシェル様がそうおっしゃるのなら」
セインは胸に手を当てて恭しくお辞儀をする。乳兄弟としてどんなに近い存在でも、一国の王子と貴族の息子では決して埋められない大きな身分の隔たりがある。
だからセインはラシェルに言われたことには従順だ。